千葉県鴨川市 大本山小湊誕生寺 公式サイト

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15.日蓮聖人生誕700年記念碑

15.日蓮聖人生誕700年記念碑

仁王門から祖師堂へ向かうと、参道左手に大きな石碑があります。日蓮聖人の生誕700年記念碑です。石碑の本体は、切り出した形そのままの石材を用いて碑文を刻む面だけきれいに削ったもので、高さ2m71cm、幅1m76cm、厚さ19cm余りあります。これが高さ90cmの台石、さらに高さ1m60cmの基台に据えられていますから、総高は5m21cmにも及びますが、その割りにあまり大きさを感じないのは隣りの仁王門のせいでしょう。

碑文は「宗祖降誕」と浮き彫りにされ、その下に「七百歳記念」と刻まれています。揮毫されたのは、裏面に「七十四叟寂中調謹書」とあり市川日調上人(寂中院日調)であることが分かります。上人は龍口寺二世などを歴住し、当時は東京都台東区谷中瑞輪寺三十七世住職にあり、大正12年(1923)に身延山八十世に晋まれます。瑞輪寺は江戸時代から誕生寺と深い関係があることから、筆を執られたものでしょう。

建立された年次は、やはり裏面に「紀元二千五百七十九年、聖誕六百九十八年、大正八年十一月十二日建之」とあり、生誕700年正当の2年前大正8年(1919)の御会式の日です。彫刻は「横浜中島忠次郎」とあります。

当時の貫首は六十七世今井日誘上人です。日誘上人が誕生寺へ入山されたのは、日蓮聖人生誕700年を10年後に控えた明治44年(1911)のこと、日蓮聖人誕生の霊跡として立派に生誕700年の佳辰を迎えるべく、各地への布教と境内の整備に力を注がれました。境内諸堂について見ると、本堂拝殿の手入れをはじめとして、宮中御下賜品を収める土蔵の建設、本堂屋根の瓦への葺き替え、庫裡二階中座席御経頂戴間の建設、祖師堂厨子塗り替え、誕生堂の修繕、梵鐘の新鋳、四十五間余りの廊下の建設などです。これらの事業が全国各地の信徒の方々の浄財寄進によって支えられていたことは、勿論のことです。

記念碑は、このような生誕700年へ向けての事業を進める中で建立されたものです。裏面の日付の下には、年参講有志として108名、さらに世話人として講元横川豊吉氏・副講元田中瀧次郎氏をはじめとする14名の名前が刻まれていましたから、年参講の講員の篤志によって建立されたことが分かります。年参講の人々も、境内の整備に大いに力を発揮したことでしょう。